アメリカのビットコイン戦略をめぐる戦い: リップルのロビー活動とデジタル資産準備金

最近の米国における仮想通貨政策の展開についての議論の中で、伝統的な仮想通貨企業が政府の意思決定に及ぼす影響、とりわけ戦略的準備金構想に関する懸念が浮上しています。
消えた「ビットコイン」という言葉
ドナルド・トランプが発表した最新のデジタル資産に関する大統領令において、ビットコイン支持者たちはある点に気付きました。それは、「ビットコイン」という言葉が文書内に一切含まれていなかったことです。代わりに「デジタル資産」という包括的な表現が使用されており、米国の仮想通貨政策を形作る要因について疑問が投げかけられました。
舞台裏
ワシントンD.C.の内部関係者の情報によると、リップル社はビットコインのみを対象とした戦略的準備金の設立を阻止するために積極的にロビー活動を行っているとのことです。これは、同社が以前バイデン政権やカマラ・ハリスの選挙キャンペーンに多額の寄付を行い、支持を表明していた事実と矛盾するものです。トランプの勝利後にこの姿勢を変えたことは、ビットコインコミュニティの間で波紋を呼んでいます。
CBDCに関する問題
大統領令のポジティブな側面の一つは、中央銀行デジタル通貨(CBDC)に対する明確な反対姿勢でした。命令には、「米国内でのCBDCの創設、発行、流通、使用を禁止する」と明記されており、これは特に欧州連合の方針とは一線を画すものです。
二極化するデジタル資産政策
米国と欧州のデジタル通貨政策の対比はますます鮮明になっています。米国が(ビットコインに限定されないものの)民間デジタル資産を受け入れる方向へ進んでいる一方で、欧州中央銀行(ECB)はCBDC開発に注力しています。ECB理事のピエール・シンポーリ氏は、トランプの親仮想通貨政策に対抗するため、デジタルユーロが必要であると主張し、民間デジタル資産が銀行業務を脅かすリスクを指摘しました。
今後の展望
大統領令は、戦略的デジタル資産準備金の可能性を評価するための180日間の検討期間を提供しています。この期間は、ビットコイン支持者がビットコインのみを対象とする政策の必要性を主張する重要な機会です。その主な根拠として、ビットコインの分散性、固定供給、中央管理に対する耐性など、他のデジタル資産にはない特性が挙げられます。
業界への影響
この問題は仮想通貨業界内での緊張を浮き彫りにしています。リップルのような企業は「革新推進」「仮想通貨支持」との立場を取る一方で、実際には伝統的な金融機関や中央銀行の利害と一致する行動をとることが多いのです。これは、リップルが複数の国でCBDC開発プロジェクトに関与している事実からも明らかです。
今後の課題
戦略的準備金の構成が依然として不透明な中、ビットコイン支持者は楽観的な見方を続けています。大統領令には、マイニング活動やセルフカストディ(自己保管)に対する保護措置が含まれているためです。今後の180日間で、ビットコインの特異性を適切に訴えていくことが重要となります。
この政策決定の結果は、米国のデジタル資産政策の方向性だけでなく、仮想通貨の普及にも広範な影響を及ぼす可能性があります。ある評論家は、「ビットコインは唯一の真の通貨だ。2100万枚しか存在せず、ビットコインを増やしたいなら買うか、マイニングするか、稼ぐしかない。それ以外の方法はない」と述べています。
仮想通貨業界が進化し続ける中で、中央集権型と分散型の金融システムの戦いは今なお重要なテーマとなっています。今後6か月間は、米国がどの道を選ぶのかを決定する上で極めて重要な期間となるでしょう。